「ポケモンカードイラストコンテスト2024」を知っていますか?
ポケモンカードの運営元が主催するイラストコンテストですが、AI生成で作成したであろうイラストの数々が1次審査に通過している事から、Xユーザーから批判の声が殺到しています。今回はその一連の騒動の内容をまとめてお伝えします。
「ポケモンカードイラストコンテスト2024」とは?
「ポケモンカードイラストコンテスト2024」とは、ポケモンカードの開発元(株式会社クリーチャーズ)が主催するイラストコンテストです。受賞者には以下のように賞金が授与されます。
総合最優秀作品賞
1名 賞金 $5,000+受賞作品をポケモンカード化して贈呈
カードイラスト 最優秀作品賞/exカードイラスト 最優秀作品賞
各1名 賞金 $3,000+受賞作品をポケモンカード化して贈呈
優秀作品賞 6名 賞金 $1,000
審査員賞 15名 賞金 $500
https://www.ptcgic-cr.com/2024/
最優秀賞には5,000ドル、日本円にして約787,000円が授与+自分のイラストがカード化される為、イラストコンテストとしてもかなり賞金が大きく、ポケモン/ポケモンカード好きの方から注目を受けているコンテストです。
過去の受賞作品
ポケモンカードイラストコンテスト2024でAI絵が大量応募される
一次審査に通過したイラストは、実際に公式サイト(以下リンク)で掲示されています。
実際に応募され、1次審査を通過したイラスト
https://www.ptcgic-cr.com/2024/result/primary-selection/
一見、どれも素晴らしく可愛らしいポケモンのイラストばかりに見えますよね。
しかし、いくつか目を凝らして見てみると、AIイラスト特有のタッチがあるイラストが散見されます。
https://www.ptcgic-cr.com/2024/result/primary-selection/
特に上記のイーブイのイラストは、ザ・AI生成という絵柄にみえるイラストがいくつかある、と数々のXユーザーから指摘を受けています。
ポケモンカードイラストコンテストの1次審査通過作品は合計300作品ありますが、その内1/10程度はAI生成感のあるイラストであると感じました。
そして何よりも、比較的古くからいるポケモン(ピカチュウやイーブイなど)は生成AI上でも学習データが豊富なことやデザインも複雑でない為、生成しやすいのかも知れませんが、特にピカチュウとイーブイ部門に生成イラスト特有のタッチの物が多数ありました。
それが又、生成イラストである可能性を強化する要因になっていると感じました。
AI生成チェッカーにかけてみたところ、AI判定される
1次審査を通過したイラストの内、手描きと思われるAI疑惑の無いイラスト&AI疑惑のあるイラストで、AIチェッカーに通してみました。
※著作権の問題で、イラストにはモザイクをかけています。
こちらのAI生成チェッカーはHiveが提供している精度の高いチェッカーとして知られているものですが(リンクはこちら)、見事、AI疑惑イラストは90%以上の数値(AIの可能性が高い)が出ました。
ネット上のユーザーの声
水に浸かっているとても可愛らしいイーブイのイラストは、よく考えてみると水ポケモンではないのになぜそのような構図?と違和感がありますよね。
そして、左側にシャワーズが描かれていますが、「これが盗用元なのではないか?」という、ほぼシルエットが合致するイラストが発見されていることから、画像盗用をして生成している可能性が浮上しています。
これが事実であれば、コンテストに定められているルール「d」に違反する事になります。
d. 各応募者は、応募にあたり、応募作品がオリジナルであること、応募作品が過去に出版されておらず、他のコンテスト等に応募されておらず、受賞もしていないこと、応募者が単独で応募作品を作成したこと、応募作品に特許権、著作権、商標権またはプライバシーもしくはパブリシティの権利を含む第三者の権利を侵害または侵害する可能性のある素材が含まれていないこと
https://www.ptcgic-cr.com/2024/agreement/
~~(中略)~~主催者は、応募者が本公式ルールに違反する行為を行った場合、応募作品または受賞を取り消すことができ、本公式ルール違反により応募者が本コンテストへの応募資格を失った場合、資格剥奪の通知を受けてから30日以内に、応募者の費用負担で、全ての賞および賞金を主催者に返還する義務を負います。
これについて、コンテスト運営側は正式にルール違反と判断し、参加資格を剥奪するのでしょうか?ルールとして掲げている以上は、きちんと不正行為を行っている方への対処を行って欲しいですね。
「ポケモンカードイラストコンテスト2024」のAIイラストは何故炎上?
色々と炎上しているポケモンカードイラストコンテストですが、「生成AI禁止のルールが無いなら、問題ないのでは?」といった声も見受けられます。
確かに、コンテスト主催側が禁止していない事ならなにも咎めようがありません。
しかし、以下のようにいくつか問題の指摘を受けています。
コンテストのルールには「生成AI禁止」と記載していないけど...
制作手法に関して
https://www.ptcgic-cr.com/2024/guidelines/
2D、3Dは問いません。以下の内容に沿ってご制作ください。
コンテスト主催側の株式会社クリーチャーズは、生成AIの禁止の記載は特にありません。
近年生成AIが普及している中、禁止と記載がないという事は、「生成AIは使用OK!」という解釈で捉えてよいのかもしれません。
しかし、「コンテストならちゃんと描いて提出するべきなのでは?」という声もあります。
実際、生成AIで作ったイラストが最優秀賞に選ばれたとしたら、生成AIを使えば誰でも高クオリティなイラストを生成できるのだから、わざわざ何万人も参加者を集め、コンテストを開催する意味はあるのか?と思ってしまいますね。
1人につき3枚のイラストまでしか応募できないのにも関わらず...
今回のコンテストで、大きく問題となっているのがこちらです。
応募は1人につき応募作品3点までです。応募作品3点を超えて応募した場合、失格となる可能性があります。
https://www.ptcgic-cr.com/2024/agreement/
公式の応募要件にも記載している通り、1人3点までのイラストしか応募出来ないと明記されています。
しかし、実際に応募されたイラストをよく見てみると、同一人物と思えるタッチ(AI調)のイラストが、絶妙に名前を変えて3つ以上投稿されているのです。
https://www.ptcgic-cr.com/2024/result/primary-selection/
これらが同一人物なのか、それとも「たまたま似ている名前で・似たタッチで・同じイーブイを描いたのか?」真相は不明です。
Xユーザーのコンテストに対する批判の声
これらの一連の騒動により、Xユーザーからは以下のような声が寄せられています。
審査員もAIだったのか
プロンプトコンテストなのでは?
不正を容認している運営もおかしい
不正をした人のせいで、まともに描いて応募した人の枠が奪われる結果になっている。不正する人が居なければ、まともに描いている人が1次審査通過出来た可能性もある。真面目に描いている人が馬鹿を見るのは憤慨
また、このコンテスト自体が日本のみならず海外からも応募できますので、海外のユーザーからも同様に、上記のような内容のポストが相次いでいます。
ポケモンカードイラストコンテストでAI絵が大量応募される まとめ
個人的には、「生成AIを使用してはいけない」という論点ではなく、不正を犯したり、構図的にもおかしいイラストを大量に応募する時点で、ポケモンへの愛がない・賞金目当てという印象を受け、コンテストとしての本来の面白さが失われると感じます。
また、それを容認する運営であれば不信感が募るのも当然だと感じました。
今後、ポケモンカードイラストコンテストはこのまま"生成AI使用可"で開催し続けるのでしょうか?今回の騒動を受け、ガイドラインの見直しを行っていただきたいと思いました。
ルール違反者の作品が除外され、繰り上げが行われた
6月25日に公式から、ルール違反者に対する資格剥奪を行ったとの声明が発表されました。
先日発表いたしました一次審査通過300作品において、誠に残念ながら一部の作品に規約違反が発覚いたしました。
https://www.ptcgic-cr.com/2024/notification_202406_02/
該当した作品の応募者は失格の上、一次審査通過作品のリストから除外し、規約に則り繰り上げを実施いたします。