最近話題によく挙がる「AI絵師」について。何故彼らが嫌われるのか?
ネット上の意見を交えながら、何故嫌われるのか。何故AI絵がいけないのか。を解説いたします。
そもそも「AI絵師」とは?
「AI絵師」とは、生成AIツール(例:Stable Diffusion、Midjourney、DALL-Eなど)を利用してイラストやアート作品を制作する人々の呼称です。この呼称が登場した当初、生成AIを利用する人々が自らを表現するために、特にSNS投稿等へのタグ付けとして「#AI絵師」とし始めたことがその由来だとされています。
AI絵師を嫌いな理由とは?
早速ですが、インターネット上(主にX、知恵袋など)で収集した「AI絵師が嫌い・苦手」派が、"なぜ嫌いなのか"の意見の内容をまとめてみました。
AI絵師を嫌いな理由その①:AI生成を使用している層の民度が悪い
無断学習やモラルに欠ける行為が多い為
AI学習禁止と掲げている絵師のイラストを無断で学習させたり、その学習したモデルで生成したイラストを絵師の目につくところで意図的に投稿、モデルの無断配布など。モラルに欠ける一部の自称AI絵師がいる
AIタグをつけずに投稿している為
AIか手描きかどうかで作品に対する評価は変わる。AIタグをつけないAI絵師が多すぎる。
PixivやSNSなどの媒体に投稿する際、特にPixivでは、AI生成絵にはAIタグをつけるルールがあります。それを怠って、または意図的にタグをつけずに投稿するAI絵師が存在し、AI絵師全体のイメージが悪くなっているという意見です。
手描き絵師へのリスペクトや配慮が欠けている為
絵師の作品を無断学習しているから生成AIを使えているのに、「絵柄を私物化するな」、「手描き絵師なんて淘汰される存在」など、立場を弁えていない発言が目立つ。そんな人を好きになんてなれない。
自分自身がその手描き絵師のイラストを元に作られた学習データを用いてAI生成している=恩恵を受けているにも関わらず、リスペクトや配慮に欠ける言動・行動を行う一部のAI絵師が存在するから。という意見です。
「ルサンチマン」的感情に見える為
AI絵師は、典型的なルサンチマンだ。手描きの絵師に対して嫉妬しているように見える。それくらい理不尽な言動が多い。
ルサンチマンとは
https://www.weblio.jp/content/%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%9E%E3%83%B3
弱者が強者に対して抱く「恨み」や「嫉妬心」のこと。日本語では「怨恨」と訳されることも多い。ドイツの哲学者ニーチェ(Friedrich Neitzsche)の道徳哲学を特徴づける重要なキーワードのひとつとして知られる。
「生成AIを推進する人の中には、自らのスキル不足や挫折感を味わった経験から、特定の才能を持つ人(絵師)に対して怨恨の感情を抱いており、AIの登場によって彼らを陥れられる、もしくは自分も才能を手に入れられるという希望から、規制派への反発心を強めている」という意見です。
自己中心的な言動が目立つ為
単純に生成AI使用者層は自己中心的だ。「自分が素敵なイラストを作れるのであれば、他者の損失は関係ない」そんな立ち振る舞いだ。
「法律的にセーフだから」「技術の進化だから仕方ない」といった言葉で責任を曖昧にし、自分の利益の為に問題を蓋している。
法律は人々が声を上げてこそ進化するものであり、現状「法律的にセーフ」という言い分は法整備が追いついていないだけにすぎない為、このような態度は無責任だ。という意見です。
スキルマーケット等でのトラブル
スキルマーケット(ココナラ等)で、AIを使って生成したイラストにも関わらず、その旨を明示せず、手描きイラストと同等の価格を提示しているユーザーが増えており、悪質だと思う。
今は誰でもAI生成が可能な時代であるため、イラスト制作を発注するクライアントは「イラスト制作=手描き」と想定している可能性も十分に考えられます。また、AI生成のイラストは手描きと比べて、制作プロセスもコストも大きく異なるため、AI使用を伏せたまま取引を行い、手描きと同じ価格で提供するということは、クライアントの意図を損ね、不公平な取引を行っている=悪質 という意見です。
SNSでの賞賛目的の「手描き」偽装
AIイラストをトレースしたものや、ポン出しAIイラストを手描きと偽って投稿している。そこまでして賞賛を得たいなんて、どうかしている。
現在、誰でもAI生成が可能な時代であるため、AI生成のイラストは特に賞賛されるものではなくなりつつあります。
こうした背景から、AI生成であることを意図的に伏せたり、手描きと誤認させるために制作過程のラフを偽造したり、誤解を招く目的で「描いた」といった表現を用いるユーザーが目立つ、という意見です。
AI絵師を嫌いな理由その②:単純にAIイラストのタッチが嫌い
どこかしら破綻している、顔や表情が気持ち悪い・不気味
AIイラストのマスピ顔が好みじゃない。人体構造が破綻していたり、線が溶けていたり、得体の知れない気持ち悪さを感じる。
人が描いた筆跡が見当たらない、どこか完璧すぎる・個性が無い、体の構造が破綻している、視線の焦点が合わないなど、気味の悪さを感じるからという意見です。
オリジナリティが無く、見ていて退屈
AIイラストは無個性だし、「それっぽい」だけのイラストだ。心惹かれるイラストは手描きの方が多い。
生成AIは既存の著作物を学習データにしているため、「既視感」があり、絵柄も似たものばかりとなる特徴があります。
その為、手描きイラストの方がその人自身の絵柄や作風が確立されており、見ていて興味深いものがある。という意見です。
思想や感情を感じられない
AIが生成したものであると分かった時点で、作者の思想や感情の影響を受ける部分が少なくなる印象がある。人が作ったイラストの方が魅力的だ。
音楽を聴き歌詞に共感することと同じく、アートや作品を見るということは、美しいものを見たいという思いと同時に、作り手の思情を感じて味わいたいという思いが根底にある為、AIイラストは好きじゃない。という意見です。
AI絵師を嫌いな理由その③:AIイラストやAI生成画像自体にマイナスなイメージがある
企業のAI生成画像広告でマイナスイメージ
広告写真に実在しない人を使用するのはそもそも信頼性に欠けるし、大手の企業が生成AIを使っていると、クリエイターを軽視している企業だというイメージがつく。
広告の人物モデル契約は、企業とモデル双方の信頼関係により成立するものですが、AIの写真をわざわざ広告に使用する企業というのは、資金や経営状況が悪いのではないか、あるいは不誠実な企業なのではないかといったイメージが浮かび上がる為、AIに対してもマイナスイメージがついているという意見です。
ディープフェイクやフェイク写真等の犯罪の温床になっている
芸能人のディープフェイクやAIを利用した詐欺等、良いニュースを聞かない。生成AIなんて存在しない方が良かったのではないか。
AI生成を用いた芸能人や政治家のディープフェイク写真作成など、マイナスな使い方をする人も存在し、実際にニュースになっている為。そのような情報を見聞きすることで、AI生成=マイナスなイメージになっている。という意見です。
Amazon
タイムセール開催中商品
人気商品がお得なチャンス!
※2024年11月1日時点での情報。セールは終了している可能性もございます。最新の商品情報は商品詳細ページでご確認ください。
AI絵師が嫌い(規制派・反対派)な人の意見
AIイラストは嫌いではないが、描いていないのに生成AI利用者が「絵師」や「イラストレーター」と名乗る事に違和感がある。文字を入力しているだけでクリエイターを気取っていることが気に食わない。
現在公開されている生成AIは、いわゆる無断学習したデータセットが含まれており、著作権的に問題があるので規制するべきである。
生成AI使用者層は、版権キャラクターのアダルト画像を大量生成し、それを売り捌いたり、承認欲求の為に手描きだと偽装する等、モラルに欠ける行為が目立つ為嫌いだ。
手描き絵師が培ってきた技術を盗んでいる。海賊版や転売ヤーと同じだ。盗まれた絵師にはメリットが一切が無いし文化発展の停滞に繋がる。自分の好きなイラストレーターが筆を折ってしまうんじゃないかと心配だ。
絵は手描きかAIかで評価が変わる。今は生成AIを使えば誰でも高品質なイラストを作れるので、生成AIのイラストは評価に値しない。それなのに、正しくAI表記を行わないAI絵師のせいでプラットフォームが荒らされ、本来評価を受けるべき手描きイラストが埋もれる事が嫌だ。
生成AIで作成したイラストはどこか破綻しているし、個性が無くつまらないイラストになる。ツールとして使うにも物足りなく、1から自分で描いた方がよっぽど有意義だと思う。
AI絵師やAIイラストが好き(推進派・肯定派)な人の意見
生成AIは技術の進歩というだけで、いずれツールとして普及すると思うし、止められないと思う。AIを使いこなせない人は時代に置いて行かれるだけだ。
AIイラストは手描きイラストより精巧で美しいので好き。素敵なイラストであれば、絵を描くプロセスは重視しない。
生成AIは法的に問題が無いのだから、咎められる理由が無いし、絵柄や画風に著作性は無い為、学習しても問題はない。それに、人間の学習は良くて機械の学習が駄目な理由が分からない。
イラストは学習させてはいけないのに、ChatGPTや音楽は問題視されていないのはおかしい。反対派の人もAIの恩恵を受けているはずなのだから、イラストにだけ反対するのは所謂ダブスタだ。
自分はイラストが描けない為、生成AIを利用している。なので生成AIの今後の発展に期待をしているし、使えなくなるのは困る。それに、プロンプトを操って思い通りのイラストを作成するにも労力がかかる為、手描きのイラストと比べ軽んじられるのは納得がいかない。
追記:「AI絵師が嫌いな人はいいねしてみて」といった趣旨のポストが話題に
https://x.com/innocence_SAC/status/1850747057490800900
こちらのツイートは2024年10月28日に投稿され、Xで大きな話題を呼んでいます。
一般的に「バズっている」と言われる基準は1万いいね以上ですが、このツイートはなんとその32倍にあたるいいね数を獲得しています。生成AIが登場して以来、生成AI利用者へ嫌悪感を示す人が少なからず存在するという事は認識されていましたが、それが初めて可視化されたポストだという事、また、その多さが話題となっています。
参考までに、2023年度のX国内「いいね」数ランキングで30位付近のツイートが32万いいねを獲得1しています。これに並ぶほど多くの注目を集めたツイートであることがわかります。
AIイラスト、AI絵師は法律的に問題はないのか?
そもそも生成AIの"学習"行為は著作権法的にどういう扱いなのか=合法
生成AIを利用した「学習」の範疇では、著作権侵害には該当しないというのが現在の著作権法であり、現時点では生成AIを使用する事に法的問題はありません。
AI開発のための情報解析のように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能です(権利制限規定)。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/93903601_01.pdf
生成AIの"利用"行為=合法(セーフ、問題なし)だが、著作権の侵害に該当する場合も
自分の生成したイラストや画像に、既存の著作物(誰がが創造した作品やキャラクター)に類似性・依拠性が認められる場合は、著作権の侵害に抵触する可能性があります。私的利用の際には問題となりませんが、それを一般公衆に公開する目的での生成や学習は著作権侵害となる可能性があります。
著作権侵害に該当するケース①:既存の著作物と類似・酷似した生成物を商用利用する
いくらAIが生成したものと言っても、既存の著作物に酷似した依拠性のある物を、商用利用すると著作権侵害になる場合があります。
例えば、AI生成で「ドラえもん」にそっくりなキャラクターを生成してしまい、それをそのまま商用利用してしまう事は著作権侵害になります。意図せずAIがドラえもんに似たものを生成したという場合でもNGです。
著作権侵害に該当するケース②:既存著作物を使用して生成する(i2i)
例えば、「ドラえもん」の画像をAI生成ツールに取り込み(「image to image(略称:i2i、img2img)」という手法)、元画像を再現させる・アレンジする場合、類似性・依拠性あるものが生成されるだけでなく、学習ではなく「無断使用」という枠組みとなり、著作権侵害に該当します。
生成AIは、他者の著作物を学習データの一部として利用する、という点ではセーフですが、このような「image to image」での生成は学習の範疇でなく、画像の無断使用に該当し、著作権の侵害となるケースがあります。
AI絵師はウザい?嫌い?何故ダメ?を個人的に解説してみる まとめ
当記事がご参考になりましたら幸いです。