近年、目まぐるしく進歩している「生成AI」ですが、便利な反面、様々な問題点が指摘されているのも事実です。
今回はそんな生成AIイラストの問題点を詳しく解説していきます。
生成AIは法的に問題?著作権は?
著作権法では、生成AIによる学習については原則として著作物を許諾なく利用できると定めている。
https://www.asahi.com/articles/ASRDN737DRDNUCVL029.html
生成AIを利用した「学習」の範疇では、著作権侵害には該当しないというのが現在の著作権法であり、現時点では生成AIを使用する事に法的問題はありません。
しかし、一部の利用方法によっては著作権侵害とされるケースがあります。それらについて下記で説明いたします。
生成AIが著作権侵害に該当するケース
- 著作物に類似性・依拠性のある生成物
- Img to Imgと呼ばれる、著作物を元に生成した物
このように、著作物に酷似した物、著作物を使用して生成した物などは著作権侵害に該当する場合があります。1
これらは生成AI登場以前からも同じで、著作物のトレースやパクリ等が著作権侵害に該当するのと同じで、生成AIを使用して疑似的にトレースする事、似せる事はNGです。
では、「通常の利用方法であれば問題が無いのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。
世間の言う生成AIの問題点とは、どこにあるのでしょうか?次に、倫理的な問題について解説いたします。
生成AIの倫理的な問題点とは?
生成AIの倫理的な問題点とは、「フリーライド」、「クリエイターの制作物を利用し"ただ乗り"している」等と言われています。
ただ、それらは「技術の発展には多少なりの犠牲は仕方ないのでは?」等という意見もあると思います。しかし、問題点はさらにあります。
AIには常に新たな学習データが必要=クリエイターから搾取し続ける事を是とするか
AIは、既存の学習データ(イラスト)を組み合わせて出力するような特徴を持っています。
つまり、「0=1」を生み出す事は出来ないと考えられています。
例えば、新作のポケモンを生成AIでイラスト生成したいとします。
ですが、そのポケモンの学習データが無ければ、生成できません。言葉で指示することは出来ても、そのまま上手く形にすることはできません。ですので、既存のイラストの学習データが必要になります。その学習データをどこで調達するのでしょうか?
現在多く行われているのは、公式イラストや、クリエイターの作品を無断で学習させるという選択肢になります。
つまり、生成AIがある限り、文化変容がある限り、常に新しい学習データが必要です。その為AIに完成はありません。
それらを、クリエイターの作品から無断学習させ、クリエイターに一切の利益の拝受無く、未来永劫搾取し続けることを是とする。それが現在の生成AIに対する著作権法です。
クリエイターにとっての作品は1つ1つが財産
クリエイターにとって、作品一つ一つは財産に値します。
作風が評価され、それを生業としているクリエイターもいます。無断で作品が生成AIの学習に使用され、そのモデルが公開されることがあれば、直接的な被害が生じます。
そもそも、クリエイターは自らの作品を学習データとして使用されることを意図していません。したがって、無断で学習に利用されることはクリエイターの意図に反し、間接的に著作者人格権の侵害とも言えます。
新しい物を生み出すクリエイターが居なくなる
Web上に作品を掲載すると、生成AIで学習される=「ただ乗り」されるとなれば、誰かの真似をした方が利益を得られる状況を生み出し、新しいものを創造しようとする意欲が失われる恐れがあります。
その結果、全体の技術と創造性が停滞するリスクがあります。この問題はイラストだけでなく、今後のAIの発展に伴い、さまざまな分野で生じる可能性があります。
生成AIは問題なのか まとめ
現在の法的な視点では、生成AIの利用自体は問題視されていません。しかし、その裏側ではクリエイターの権利が侵害され、技術の発展を妨げる可能性があることも事実です。
イラストに限らず、クリエイティブな作品は他者から見て著作性を証明することが難しく、権利が十分に守られていないことがあります。このため、今後の生成AIに関する法改正が求められています。